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YouTube公開「令和5年度海洋プラスチックごみ問題に関するシンポジウムシンポジウム」の動画~吉岡敏明教授

■概要

3月19日開催の「令和5年度海洋プラスチックごみ問題に関するシンポジウムシンポジウム」の動画が環境省YouTubeページに公開されました
代替素材やリサイクルシステム(R5海洋プラスチックごみシンポジウム)

動画リンク
https://youtu.be/0KxNyYZiEcU

■補足事項

石油化学新報 「web版 Jchem-News」にて本シンポジウムの記事が掲載されました

2024年3月22日(金曜日)

◇環境省、海洋プラごみ問題のシンポジウム開催〜課題や進展を紹介

講演画像
東北⼤学⼤学院・吉岡敏明教授

環境省は、令和5年度海洋プラスチックごみ問題に関するシンポジウムを開催した。海洋プラごみの研究課題や進展についての理解を深めるため、大学や公的研究機関の研究者が講演。国際的な条約交渉の進捗や課題の把握に向けた取り組み、解決に向けた道筋などについて説明した。

最初の登壇者である地球環境戦略研究機関の粟生木千佳副ディレクターは、「国際条約交渉について」講演。プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)での議論について、2023年11月に開かれた第3回会合(ケニア)までの結果を報告。この会合までの議論をもとに各国の提案が全て盛り込まれた条約案の改訂版が作成されており、2024年4月の第4回会合(カナダ)での条文案交渉のベースとし、同11月の第5回会合(韓国)を経て同年末までにとりまとめ、2025年の半ばごろに条約として採択することを目指していることを説明した。

研究者によるセッションでは、まず九州大学の磯辺篤彦教授が「動態把握と予測」と題した講演を実施。海洋プラごみを解析した結果テイクアウト由来の使い捨てプラが3分の2程度で、かつ陸起源が78%、プラスチック製の袋が最多の14%であったことを紹介。また、海洋に流れ出たプラごみはおよそ3年ほどで海底に沈み、堆積していることが浮遊プラの年齢推定から明らかになったことや、その調査手法を説明した。

京都大学大学院の藤原拓教授は、「発生源・流出経路」と題して講演。下水処理場や河川等で調査を行った結果から、マイクロプラスチックによる研究を行う上で、晴天時と雨天時の流出量の違いを考慮する必要性を説明。また、日本からは流出量の約2%程度の回収に留まることや、市⺠のごみ拾いによるプラごみ流出の低減効果などを解説した。

国立環境研究所の山本裕史副領域⻑は、「生物・生態系影響」と題して講演し、プラスチックの生物に対する影響について海外の研究結果などを紹介した。その中で、大気中のプラスチックはほとんどがタイヤ由来であったこと、ヒトが体内に取り組んだ際の影響について各国で調査・研究が進んでいることを説明。また、この問題についての関心が、プラスチック本体から添加剤へと移っていることなどを説明した。

東北大学大学院の吉岡敏明教授は、「代替素材やリサイクルシステム」と題して講演。石油資源から化学品を供給する“動脈”チェーンのみならず、それを消費者から回収し新しいリサイクルルートへと繋げる“静脈”のチェーンを構築する必要性を説明した。また、その実現に向けて、熱分解処理によって油化することでのリサイクルや、PET(ポリエチレンテレフタレート)と石灰の反応によりベンゼンを回収する技術、塩ビなどから塩素を取り出しリサイクルする塩素循環技術等を紹介。一方で、分解・回収する化学品は毒性を持つものも多いため、いかに分解をコントロールするかという重要性も解説した。

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