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【THEME01】

【SUB THEME02】バイオプラスチック社会普及性を支えるバイオマスの変換技術開発

サブテーマリーダー

五十嵐 圭日子(東京大学大学院農学生命科学研究科)

メンバー

氏名 所属機関 所属
五十嵐 圭日子 東京大学 大学院農学生命科学研究科
宇山 浩 大阪大学 大学院工学研究科
金子 哲 琉球大学 農学部亜熱帯生物資源科学科

概要

・バイオマスプラスチックの原料としての非可食バイオマスの利用を再検討し、利用のために必要な技術開発を行う。

・日本国内で手に入る木質系バイオマスやサトウキビバガスなどのセルロース系バイオマスに対して、どのような前処理をすることが環境、特に生物圏に負荷をかけずに糖を得るために適しているかを評価する。

・糖を得るための酵素選抜、モノマーやプラスチック生産のための発酵工程で阻害を起こしにくい糖化システムの構築などを手がける。国内で年間800万トンも発生する古紙の利用可能性に関しても評価する。

目標

1)廃棄紙・余剰パルプの分画技術開発

2)サトウキビバガス・木質バイオマスの分画技術開発

3)オリゴ糖、多糖、繊維残渣からのバイオプラスチックまたは代替素材生産

研究計画

令和3年度 1)オリゴ糖を廃棄紙・パルプから多く生産する酵素のスクリーニング
2)サトウキビバガスの前処理条件検討
3)モデル繊維残渣を用いるPVA、多糖類との複合/ブレンド技術の開発
令和4年度 1)繊維残渣がCNF化できる酵素のスクリーニング
2)サトウキビバガスからオリゴ糖を高効率で生産できる酵素群の選抜
3)モデルオリゴ糖、多糖類を用いるPVA、多糖類との複合/ブレンド技術の開発
令和5年度 1)セルロース分解酵素による廃棄紙・パルプの分画
2)サトウキビバガスの前処理-酵素分画の最適化
3)実バイオマスからの繊維残渣を用いるPVA、多糖類との複合/ブレンド技術の開発
令和6年度 1)オリゴ糖を直接発酵できる酵母の開発
2)木質バイオマスの前処理条件検討
3)実バイオマスからのオリゴ糖、多糖類を用いるPVA、多糖類との複合/ブレンド技術の開発
令和7年度 1)トータルシステムフロー最適化アルゴリズム構築
2)木質バイオマスの前処理-酵素分画の最適化
3)実バイオマスの変換物を用いて作製するバイオプラスチックの高性能化

進捗

    2023.07現在
  • 1
    2
    3
    4
    5

【計画以上の進展がある】
令和3〜5年度は、コロナ禍ではあったが1)2)3)それぞれで計画した研究は予定通り進められているだけでなく、想定していなかった特許性のある結果も出ており、「計画以上の進展がある」と評価した。その成果の一つは、Science Advances誌(IF14.98)にも掲載され、海外でも高く評価されたことから、想定以上の進度であった。

成果

自己評価に対する具体的な理由・根拠

図1 酵素糖化条件を変えることで行ったパルプの
フラクショネーション
黄:キシロース、青:グルコース、緑:セロオリゴ糖、
赤:残渣

図2 化学処理によるバガスのゲル化(上)と
PVAとの複合素材強度(下)

1)当初の予定通り廃棄紙や余剰パルプを原料として単糖、オリゴ糖、多糖、繊維残渣を自在の比率で作り分けられる技術開発に成功した。(図1)
2)サトウキビバガスや木質バイオマスに対して酸やアルカリ等様々な前処理を行い、構成成分であるセルロース、ヘミセルロースの酵素による糖化性にバリエーションを与えることに成功した。
3)PVA/化学薬品処理バガスの複合材料はPVA単独よりヤング率が著しく向上し、プラスチック並みの物性を獲得(図2)

目標達成の見通し
令和3〜5年度の研究で、パルプから単糖、オリゴ糖、CNF、残渣を作り分ける酵素反応条件は明らかにした。また、サトウキビバガスに二段の化学前処理を行うことで、均一なゲルの作成にも成功し、PVAとの複合材料がプラスチック並みの物性を示したことから、バイオマス変換技術開発に着々と近づいていると言える。現在、酵素反応条件の異なる系において、生産コストと生産される素材の価格等に関してもバランスを明らかにし始めており、フラクショネーションを行うことの経済性に関しても、政策提言ができると考えている。

サブテーマ構成

サブテーマ1.バイオ素材と再生材の利用技術開発にかかる技術的政策研究

リーダー名 吉岡 敏明(東北大学大学院環境科学研究科)

サブテーマ2.バイオプラスチック社会普及性を支えるバイオマスの変換技術開発

リーダー名 五十嵐 圭日子(東京大学大学院農学生命科学研究科)

サブテーマ3.産業間融合によるプラスチック循環システムの政策的研究

リーダー名 中谷 隼(東京大学大学院工学系研究科)

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