【SUB THEME03】産業間融合によるプラスチック循環システムの政策的研究
サブテーマリーダー
中谷 隼(東京大学大学院工学系研究科)
メンバー
氏名 | 所属機関 | 所属 |
---|---|---|
中谷 隼 | 東京大学 | 大学院工学系研究科 |
村上 進亮 | 東京大学 | 大学院工学系研究科 |
小原 聡 | 東京大学 | 未来ビジョン研究センター |
齋藤 優子 | 東北大学 | 大学院環境科学研究科 |
大野 肇 | 東北大学 | 大学院環境科学研究科 |
概要
・プラスチックの循環システム構築に向けた動的な物質フロー分析、再生技術のフィージビリティ分析、合成樹脂添加剤のフロー分析、回収制度の理論・実証分析を通した評価基盤の構築と、生活系・機器系プラスチックの循環シナリオのオプションを提示する。
・産業連関表を用いた物質フロー及び石油由来プラスチック・バイオマスプラスチックのライフサイクルでの温室効果ガス排出分析結果を用いて、バイオ素材を含めたプラスチック資源循環戦略のマイルストーンを考慮した最適な循環シナリオを構築する。機器系プラスチックについては、バイオプラスチック導入による技術的・経済的視点から、動脈産業との融合と制約要因としての合成樹脂添加剤のフローを考慮して、それぞれ実現可能性のある循環シナリオを設計する。
・特定のリサイクルプロセスにおいて不純物扱いとなるプラスチックや添加剤が、どのような製品として社会に戻るかについて事例解析し、循環シナリオの制約となりうる箇所(例:添加剤による健康影響等)があればそれを明らかにする。その際、生分解性の添加剤については、その環境中での分解性も考慮した解析を行うこととする。
・動脈産業における廃プラスチックの利用ポテンシャルの推計結果や先端的な化学原料化技術などの技術開発動向の調査結果を基として、特定地域における動脈産業と融合したサーカムスタンス適応型の循環シナリオを設計する。
目標
前期3年は、循環シナリオを構成する評価基盤を拡張することを目標とする。
後期2年は、2030~2040年を見据えた循環シナリオを設計する。
研究計画
令和3年度 | 産業部門における廃プラスチックの組成調査、バイオマス原料と各種プラスチック生産の現状調査、動脈産業の廃プラスチック受入の動向調査、樹脂添加剤のスクリーニング調査 |
---|---|
令和4年度 | エッセンシャルユースのプラスチック需要の特定、国外からの持続可能なバイオマスプラスチックの調達可能量の推計、廃プラスチック受入・処理の目的別シナリオ作成法の検討、機器系プラスチックの市中賦存量の推計 |
令和5年度 | プラスチック需要と排出のトレンド推計、バイオマスプラスチックの国内原料調達量と生産能力の分析とLCA、廃プラスチックの処理技術選択の最適化問題の構築、機器系プラスチックの地域循環シナリオの設計、製品プラスチックの市中賦存量の推計 |
令和6年度 | 2020年産業連関表によるプラスチック需要と排出のトレンド推計の更新、バイオマス原料と再生樹脂によるプラスチック需要の充足可能量の推計、フィードストックリサイクルに求められる樹脂原料供給量の分析、製品プラスチックの添加剤のフロー分析 |
令和7年度 | 構造変化を考慮した動脈産業の炭素循環フローの推計、プラスチック資源循環のグランドデザインの提示、サーカムスタンス適応型の循環シナリオの設計 |
進捗
成果
自己評価に対する具体的な理由・根拠
① 物質フローや市場調査をもとに推計した生活系プラスチックの排出量を基準に、レジ袋の有料化など現状の政策、容器包装の軽量化など企業の取組の延長での削減可能量を推計した。(図)
② バイオマスプラスチックに関する国内企業へのヒアリング調査をもとに、当初の計画を前倒して2030年における国内のバイオマス原料の調達可能量とポリエチレン(PE)またはポリ乳酸(PLA)に変換した場合の供給可能量を推計した。
③ 化学産業におけるケミカルリサイクルを中心に、国内での廃プラスチック受入可能性を調査した。
④ 動的物質フローの解析手法を構築し、過去から将来のプラスチック由来の炭素のストックおよび散逸量を推計した。
⑤ 仙台市において一括回収された製品プラスチックから採取したサンプルの組成分析などを行った。
⑥ 機器系プラスチックの排出量を予測するツールを開発し、使用年数情報の精緻化の必要/不要な財を区分した。
目標達成の見通し
令和5年度までの研究計画については達成済み、または具体的に達成の見込みが立っており、一部については令和6年度に計画していた研究項目にも着手しているなど、最終的な目標である循環シナリオの設計およびグランドデザインの提示に向けて順調に進展している。
他のサブテーマ構成
サブテーマ1.バイオ素材と再生材の利用技術開発にかかる技的制作研究
リーダー名 吉岡 敏明(東北大学大学院環境科学研究科)
サブテーマ2.バイオプラスチック社会不朽性を支えるバイオスの変換技術開発
リーダー名 五十嵐 圭日子(東京大学大学院農学生命科学研究科)
サブテーマ3.産業間融合によるプラスチック循環システムの策的研究
リーダー名 中谷 隼(東京大学大学院工学系研究科)